第3章 お金を貸すこと借りること
1 銀行
(第3章−1の取材協力・資料提供:財務省、日本銀行)
どのようにしてもうけているのだろうか?
「金融」とは、お金を融通する(貸す)ことと融通される(借りる)ことです。お金を貸せば、その見返りに利子(手数料)がもらえます。逆に、お金を借りれば、その見返りに利子(手数料)を払わなければなりません。お金は経済の血液だとよくいわれます。血液の循環に障害が起きれば、人間は病気になります。同じように、お金の流れに障害が起きれば、経済は停滞します。金融業*は、お金の流れをスムーズにする役割を担っています。
クイズ1
金融の仕事をしているのはどこですか。
@ 市役所 A 郵便局 B 保険会社 C 証券会社 D 商社 E 銀行
1 通帳から見る銀行の仕事
預金通帳から銀行の仕事を読み取ってみよう。
下の預金通帳は昨年から会社につとめて東京で一人ぐらしをしているお兄さんのもの。お兄さんに通帳を見せてもらったら、銀行がすごくいろんな仕事をしていることがわかりました。
(通帳の表)
クイズ2
お兄さんは通帳について次の1〜7のように説明してくれました。説明に合うものを通帳のA〜Gから探してみましょう。
1( )「自動支払いとか『自動引き落とし』と言って、電気、ガス、水道、電話などの料金を、銀行の口座から、毎月、それぞれの会社からの請求にしたがって自動的に払いこんでくれるんだよ。電力料金を電力会社に払いにいかなくてもいいから便利だよね。」
2( )「ATM機を使ってカードで現金をおろしたんだ。土曜日で銀行の業務が休みだったから、手数料が105円かかってしまったよ。」
3( )「レストランで食事をしたとき、財布にお金があまり入っていないことに気づいて、カードで支払ったんだ。加盟しているお店に限るけど、クレジットカードを発行している信販会社*が代金の立て替え払いしてくれて、1ヶ月分まとめて僕の銀行の口座から引き落とされるわけ。クレジットカードで買い物をして、分割払いもできるけど、分割手数料を取られる場合もあるからクレジットカードは便利だけど慎重に使わないといけないよね。」
4( )( )「25日はぼくの勤めている会社の給料日。会社が僕の銀行口座に給料を振り込んでくれるんだよ。会社からは給料明細表という紙をもらうだけだ。25日が給料日という会社は結構多いよ。」
5( )「先日、ネットショッピングでギターを買い、僕のかわりに銀行が相手先の銀行の口座にお金を振り込んでくれたというわけだ。」
6( )「預金すると利息(利子)がつくんだ。金利は高いときもあれば低いこともあるから、利息はそのときの金利次第なんだよ。」
7( )「去年、自動車を購入した時に、代金は自動車ローンを利用して、銀行の口座引き落としにしてるんだ。高額のお金をいっぺんには払えないから、少しずつ返している。」
余ったお金をもっている人は、そのお金を引き出しにしまっておくよりは、銀行や郵便局にあずけようと考えます。なぜでしょうか。ひとつは、そのほうが安全だからです。もうひとつは、あずけたお金に利子がつくからです。
銀行やにあずけけるお金のことを「預金」といい、郵便局に預けることを「貯金」といいます。預貯金には、いろんな種類があります。
◆ 調べてみよう1 ◆
銀行や郵便局のホームページやパンフレットなどで、預貯金の種類を調べてみましょう。
2 預金者からお金を預かり、企業や個人に貸付ける
考えてみよう1
もし、君が、年利子率7.2%で100万円預貯金したとすれば、10年後には200万円を受け取れます。仮に年利子率が0.03%だとすれば、預貯金が2倍になるのに、何年かかると思いますか?
おぼえておくと便利
72の法則・・・72÷年利=元利合計が約2倍になるのにかかる年数
答え(模範解答)
●クイズ 1……A B C E
●クイズ 2……1 G、 2 B、 3 F、 4 C・I、 5 D、 6 J、 7 H
●考えてみよう1……なんと約2400年もかかります!
*金融業
経済の血液に当たるお金を取り扱う業界のこと。お金の流れがスムーズにいくようにお金を管理し、個人間同士、企業間同士、また個人と企業に対し、お金を融通する役割をしています。
*信販会社
「信販」とは信用販売の略。ローンなど、後払いで商品を渡す販売会社のことです。
お金の必要な個人、会社、国に貸して(融資して)いるのです。預金の利子と貸付の利子との差額のことを利ざやといい、これが銀行の収入(利益)になります。
(例)2005年1月の銀行金利例
(表)
解説
個人や会社からあずかったお金を、別の個人や会社に貸すためには、そのお金が必ず戻ってくるよう心がけなければなりません。そこで、銀行は個人、会社、国などにお金を貸す前に、約束どおりちゃんと返してくれるか相手の信用度を調べます。お金持ちだからとか、大企業だからとかいって、必ずしも信用できるわけではありません。銀行に膨大な借金を残したまま、経営破たん*する大企業もあります。
手数料も銀行のもうけになります。
◆ 調べてみよう2 ◆
銀行の手数料をインターネットで調べてみよう。
1、同じ銀行の振込み手数料………………( )万円まで 円
( )万円以上 円
2、違う銀行への振込み手数料……………( )万円まで 円
( )万円以上 円
3、休祭日や時間外の現金引出手数料……( )円
4、両替手数料………………………………( )円
3 銀行の銀行としても大事な役割をする日本銀行(日銀)の仕事
普通の銀行とどこが違うの?
▼大きな仕事としては次の3つ。
その1
「発券銀行」=お札の発行をしている。
クイズ3
さて過去に実際にあった紙幣はどれでしょう?
@ 布でできた紙幣 A 肖像が外国人の紙幣 B 裏が真っ白な紙幣*
その2
「銀行の銀行」=みんなが預金している一般の銀行が日銀に口座を開いてお金を預けたり出したりしている。
クイズ4
私たち個人や一般の会社も日本銀行に口座を開くことができる?
@ できる
A 個人はできないが会社はできる
B 個人も会社もできない
その3
「政府の銀行」=政府の口座があり、税金などを預けている。
クイズ5
預かっている(保有している)国債*の総額はいくらでしょう?(2004年)
@ 約1億円 A 約1兆円 B 約10兆円 C 約100兆円
考えてみよう2
もしも銀行がなかったら…
困ることは… ▼下のアドバイスも参考にね!
@
A
B
考えてみよう2……アドバイス
(例)@利子がつかない。Aクレジットカードが使えない。B光熱費をガス会社や電力会社や水道局へいちいち支払いに行かなくてはならない(不便)などが考えられますね。ほかにも困ることはないでしょうか?
4 血液(お金)の循環をなめらかにするコンピュータ・ネットワーク
解説
銀行がお金という血液を日常の支障がないように流してくれる経済の血管の役割を、果していることが理解できましたか? 血液の流れがなめらかでないと、人間とおなじように、経済も病気になります。血液の流れをなめらかにするうえで、欠かせない役割をになっているのが、コンピュータ・ネットワークです。世界中どこにでも、あっという間にお金を移動させることができます。こんな便利なサービスを銀行は提供してくれているのですね。また銀行がどのようにしてもうけているのかも理解できましたね。銀行が競争をして、より便利なサービスを私たちに提供してくれることを期待しましょう。
答え(模範解答)
●クイズ 3……B ●クイズ 4……B ●クイズ 5……C
*経営破たん
会社経営が資金的に行きづまって、経営が続けられなくなる状態のことです。
*裏が真っ白な紙幣
1927年に発行された200円の兌換券(だかんけん)。兌換券とは金との交換(兌換)を保証されている紙幣のことをいいます。
*国債
国が歳入不足を補うために発行する国の借金のこと。国が利子と元本の支払いを約束する証明書のことを国債といい、利子と元本は、約束の期日がくれば、国が破産しないかぎり確実に支払われます。