HOME | かるた |  イベント |  考えよう・調べよう |  リンク |  会について

目次

考えようくらし 調べよう経済

中学生のためのなるほど経済入門

はじめに

第1章シジョウとイチバ

価格

流通

第2章働くことと雇うこと

雇用

失業

起業

第3章お金を貸すこと借りること

銀行

保険

株式

第4章政府のしごと

財政

税金

社会保障

規制緩和

第5章世界にひろがる経済

貿易と為替

グローバル化

第6章豊かさとは何か

経済成長

景気

環境問題

はじめに

2005年3月

京都大学経済研究所所長佐和隆光

 君たち中学生は、経済のことに関心がありますか。

 経済というと「お金」を連想する人が多いでしょう。「お金」は経済の血液だといわれているくらいですから、この連想はまちがっていません。「お金」が経済という体のなかをグルグルと回っているのです。その回り方をちょっとみてみましょう。

 君たちのお父さんやお母さんは、会社やお店で、なにか人びとのためになる仕事をして、その見返りに「お金」をもらっているから、君たちは安心して勉強していられるのです。やがて、君たちも学校を卒業して、なにかの仕事につかなければなりません。仕事でかせいだ「お金」で、欲しいモノとサービス(散髪、クリーニング、外食など)を買ってこないと、君たちや家族はくらせません。

 お父さんやお母さんは、そして会社やお店も、かせいだ「お金」の一部を、税金として国や地方自治体におさめています。そのうえ、私たちは政府に消費税もおさめています。政府はその「お金」をつかって、公務員の給料を払ったり、橋や道路をつくったりしています。このように「お金」はグルグル回っているのです。これが経済なのです。

 経済を「学ぶ」ということは、経済の血液としての「お金」の役割や動きについて知ることにくわえて、血液がまわる臓器や骨がどうなっているのか、どのようなメカニズムで動いているのかという、経済の「仕組み」を理解することなのです。経済の「仕組み」を知れば、モノとサービスの価格はどのようにして決まるのか、人はなんのために働くのか、消費者そして企業はどのように行動するのか、政府はどんな役割をになうのか、なぜ自由貿易はすべての国ぐにの福利を高めるのか、為替レートはどのようにして決まるのか、なぜ景気が好くなったり悪くなったりするのか、「豊かさ」とはなんなのか、といった疑問を解くことができるようになります。経済を学ぶにあたっては、結論を覚えるのではなく、「なるほど、そうだったのか!」と君たちが納得することが、なによりも大切なのです。

 君たち中学生に、経済の「仕組み」を、わかりやすく、そして正確に伝えるために、私たちはこの本を作りました。監修者として私は、この本の執筆者やイラストレーターが立ち上げた「子どもの経済教育研究室」(http://kids-econ.com)の編集会議に出席し、どうしたら君たちが理解し納得できる内容になるかを、くりかえし討論してきました。そうしてできあがったのが、この本です。とても良い本に仕上がったことを、執筆者とともに、たいへんうれしく思っています。

 君たちが、この本を使って、「経済っておもしろい!」と思ってくれることこそが、この本を一生懸命つくった私たちにとって、かけがえのない喜びなのです。

次は [  価格  ]