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目次

考えようくらし 調べよう経済

中学生のためのなるほど経済入門

はじめに

第1章シジョウとイチバ

価格

流通

第2章働くことと雇うこと

雇用

失業

起業

第3章お金を貸すこと借りること

銀行

保険

株式

第4章政府のしごと

財政

税金

社会保障

規制緩和

第5章世界にひろがる経済

貿易と為替

グローバル化

第6章豊かさとは何か

経済成長

景気

環境問題

2 失業

働きたいのに仕事がない

失業とは職(生計のための仕事)を失うと書きます。15歳から60歳までの労働力人口のうち、何らかの理由で職についていないことをいいます。

1 完全失業者とはどのような人を指しますか?

@ 働く意欲があるのに、職がない人

A 働く意欲がなくて、職についていない人

B フリーター(フリーアルバイターの略)

 答えは@です。働く意欲というのは求職活動をしているかどうかで判断します。具体的には、ハローワークなどで職探しをしていると意欲があるとみなされるのです。従ってAは完全失業者ではなく、Bのフリーターも働く意欲があったとしても、ハローワークなどで職探しをしていないと、完全失業者には含まれないのです。

 これまでの日本では、学校を卒業して就職した会社が倒産しない限り、一生涯、そこで働き続けるのが当たり前とされてきました。そのため、完全失業者は欧米先進諸国に比べて少なかったのです。

コラム1

労働力人口

 15歳から60歳までの人口のことを労働力人口といいます。つまり、14歳までは義務教育期間中ですから、働くことはできません。仕事に就いている人のことを就業者といい、85%(平成16年)が就業しています。労働力人口のうち、非就業者といわれる人は、家庭の主婦、パートタイムで働いている人、働く必要の無い人、病気のために働けない人、高校生、大学生などがいます。

 働く意欲を持っている(求職活動をしている)のに、就職先が見つからない人のことを完全失業者といいます。

2 増える仕事と減る仕事

◆ 調べてみよう ◆

仕事に対する需要が減ってくると、仕事の数も減る。

●1960年ごろ失業した人は?

では、どんな仕事が増えてきたかな?

●1990年のころは?

では、どんな仕事が増えてきたかな?

●2000年以降は?

これからどんな仕事がでてくるかな?

こんなときも…

@ これまで就いていた仕事が自分には不向きなので、自分の適職を探す。

A 給料、待遇が悪すぎる。

B これまでの勤め先の会社が経営の失敗のためや、外国の同業者に負けて倒産する。

C コンピュータやロボットなどの機械が、人間の労働者の肩代わりをするようになる。

D 働く上での資質・能力が備わってないという理由で解雇される。

E 賃金の安い外国人労働者を雇うかわりに解雇される。

F 季節によって職を失う。

G 同じ資格(国家資格など)を持っている人が多すぎて、一部の有資格者が失業する。

コラム2

景気の良し悪しが失業率(=完全失業者÷労働力人口)*を上下させる

 一般に好景気のときには、ほとんどの企業は元気があるので、労働力が必要です。働く人たちも自分の好きな仕事を選択できるうえに、その対価としての報酬が高くなるので、働く意欲が高まります。

 これに対し、不景気になればどうでしょう。ほとんどの企業は元気がなくなり、倒産しないように利益を最優先に考えます。その結果、人件費をおさえるために、労働者を解雇したり、自宅待機させたりします。これを企業のやるリストラ*といいます。企業は新規雇用を減らし、人件費を減らそうとします。

*労働力人口

 満15歳以上の人口のうち就業者(収入を伴う仕事をした者と休業中の者)と完全失業者の合計をいいます。

*自発的失業

 働く環境・処遇など、具体的には、給料や休日、勤務時間などでより条件の良い仕事を求め、自分の都合で会社をやめて失業すること。

*非自発的失業

 企業の倒産や経営不振など勤め先の都合で、やめたくないのに会社を辞めさせられ、新しい仕事を探している人のことを非自発的失業者といいます。

*完全失業率

 日本において失業率というときは、通常、労働力調査(総務省統計局)による完全失業率を指します。

 完全失業率=完全失業者数÷労働力人口×100.

*リストラ

 リストラクチャリング(=再編成)という英語をもとにしたマスコミ用語。日本では企業の人減らしを意味します。

3 失業者を守ってくれる仕組み「雇用保険」

 失業中や知識や技能を修得するための教育を受ける際に、国から給付金がもらえます。働いているときに保険料を企業と個人が支払って加入する保険のおかげで、働く意欲のある人たちが働き続けられるように支援する制度が備わっているのです。それを「雇用保険制度」といいます。

@ こんなときにもらえる!

給付の種類

 ・求職者給付

 ・教育訓練給付

 ・雇用継続給付 

内容(こんなときにもらえる)

 失業後すぐに、再就職できない場合の生活保障

 新しい技能を身につけるために資格取得などの教育を受ける場合

 高齢者や子育て、介護などで仕事を休まなければならない場合

A 仕組みはどうなってるの?

 勤めていた会社を退職してから、次の就職先が見つからないあいだの生活費を補うものです。給付金額には、勤めていた期間や退職した理由、今まで受け取っていた給料によって違いがあります。

B だれでももらえるの?

 給付を受ける資格のある人は、たとえば、雇用保険*に加入して6ヶ月以上たっていることなど、給付を受けるためにはいくつかの条件を満たさなければなりません。

C どこで手続きができるの?

全国にあるハローワーク(公共職業安定所)*が窓口です。そこで、求人の紹介を受けたり、給付の手続きをします。

クイズ

 雇用保険は労働者の雇用を守るための保険です。次の中で雇用保険に加入できる人は?

@ 公務員 A 自営業を営んでいる人 B 会社の社長 C サラリーパーソン

答え(模範解答)

●クイズ ……C

4 制度を利用して再チャレンジ

 失業すれば、それまで安定して得ることのできた報酬(賃金)がなくなります。家族のある人はもちろん、家族のいない人でも、たちまち日々の生活に困ることになります。失業者が新しい就職先を見つけることができないまま、失業保険が期限切れになってしまうと、まったく無収入になりますから蓄えがない限り生活はできません。

考えてみよう

▼下のアドバイスも参考にね!

 失業者を少なくするためには、どうすればいいのでしょう。

@ 労働力の需要を増やすためには…

A 仕事を探す人々の技能を高めるためには…

B 政府の仕事としては何をすればいいでしょう?

考えてみよう……アドバイス

@ 新しい会社をつくる。会社が新しい売れ筋商品を開発する。 A 中・高年の人もパソコン教室に通う。B 景気をよくする対策、新産業を育てる、などが考えられますね。

*雇用保険

 もともと失業保険といわれていましたが、最近では雇用保険と名前が変りました。給付を受けるためには、雇用保険に加入している受給資格者でなければなりません。

*ハローワーク

 厚生労働省職業安定局が求人情報や雇用関係の情報を提供し、求職者がみずから求人情報を検索できる。求人、求職の支援をすることを主な目的とし、雇用保険、各種助成金の手続きなどを提供しています。

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