3 起業
会社をつくろう
自分の夢を実現しようと、それまで勤めていた会社をやめたビジネスパーソンが「ベンチャー企業」という名の会社を起こすことがあります。「ベンチャー」とは、冒険を意味する英語です。〜そして今、大学を出たばかりの君たちの先輩の中には、好きな仕事を自由にやること、できれば気の合う仲間と一緒に事業を起こすことを願って、「起業」する人が少なくありません。新しく会社を作るにはどうすればよいのかを、また会社の仕組みについて一緒に考えてみましょう。
1 起業家コンテストをやろう!
それぞれが事業計画書*を作成して発表しよう!
@ どんな会社をつくりますか?
A そのために必要な知識や能力はありますか?
B 会社名(事業名)やロゴ*を考えよう。
C 新規参入する業種や業界のライバルを調べよう。(マーケティング)
D どんなお店(オフィス)で何を(商品・サービス)売りますか?
(例)システムエンジニア、弁護士、ラーメン屋、介護用品
ヒント
だれもが欲しがる、まったく新しい製品の開発に成功した場合には、あなたの会社は成功まちがいなしということになります。
E 許認可*は必要ですか?
(例)飲食店(保健所)警備(警察署)など
F 仕事がはかどるように、どんな人を雇いますか?
(例)会計 宣伝 仕入れ担当 商品管理 秘書
ヒント
起業のために、なによりも必要なのは、すぐれた人材と資金です。アメリカや韓国では、4、5人のクラスメイトが集まって、そのうちの一人が開発した技術を製品化するために、ベンチャー企業を起業します。全員が技術の専門家であるよりも、すぐれた販売や営業の能力の持ち主、経理に通じた人、デザイン力にすぐれた人など、多様な人材が集まることが望ましいのです。
G 多くの人に会社や商品を知ってもらうために広告・宣伝をどのようにしますか。
(例)ホームページ、チラシ、ポスター、新聞、雑誌、テレビ
ヒント
あなたの会社がモノ・サービスの販売に乗り出したら、宣伝・広告をしなければなりません。あなたの会社が提供するモノ・サービスが、同業他社にくらべて、どういう点ですぐれているのかを、買い手の側に知ってもらうために工夫をします。
H 開業をするために必要な資金はどうしますか?
(例)手持ちのお金(自己資金)、銀行に借りる(融資を受ける)、株式を発行
ヒント
資金は、知り合いの人に株主として出資してもらうこともあれば、銀行からお金を借りることもあります。
起業は、必ず成功する保証はありません。あなたの会社が売り出す新しいモノ・サービスの説明を聞いて、銀行の担当者に「これは売れ筋だぞ」と思わせることができれば、おそらく銀行は必要な資金を貸してくれるでしょう。 別の方法もあります。あなたの会社が電機製品をつくり、大手の電機メーカーに頼んで、販売を肩代わりしてもらうことです。製造元はあなたの会社、販売は大手の○○電器という具合に。製品が本当にすぐれていれば、売れることは請け合いですが、かなりの金額の販売の手数料を○○電器に支払うことをかくごしておいてくださいね。
I どのくらい儲けますか?…売上目標を決める…
モノを売って入ったお金)−仕入れ−経費(送料、電気ガス代、広告費人件費など)=利益(儲け)
*事業計画書
新規事業立ち上げるとき、経営者の経営理念を具体的に数字をふくめ、計画して、表したものをいいます。
*ロゴ
ロゴ(マーク)は会社の「顔」ともいえます。一目見ることによって、その会社が手がけている製品や商品、会社の理念、経営者の意気込みなどを表すもの。日々の営業活動から会社のイメージを消費者が受け取ります。
*許認可
許可と認可は、法律上の解釈では意味合いがちがいます。基準の厳しさでは、許可⇒認可⇒届出⇒登録⇒免許の順。たとえば、飲食店をはじめようとする場合、衛生的に問題はないかなど、保健所の調査を受けたうえで許可をもらわなければなりません。許認可が必要な業種・業態はそれぞれの関係官庁に申請します。
2 戦略
さて、あなたのベンチャー企業が、いよいよお客さんにモノやサービスを売る段階です。そのとき、価格をどのようにして決めればいいのでしょうか。もしあなたのアイディアや技術を使って、ヒット商品を開発したとします。そして競争相手よりも安い費用で作れるとすれば、価格が同じでも他社との競争に勝つ可能性があります。あなたの会社は同業他社との製品差別化に成功したわけですから。きびしい市場競争に勝ち抜くためには、「良いモノ・サービスを安く提供する」ことが必要です。
3 大事な社会的責任
企業は自社の利益だけを追求するだけを目的とするでしょうか。消費者の会社に対する印象の良し悪しが大切なのです。イメージの良い会社になるためには、製品が安全であり、品質がすぐれており、すぐに壊れたりはしないことが、まずなによりも肝心ですよね。それだけではなく、製品が環境にやさしいことにも心がけなければなりません。また、製造の過程で、大気を汚染したり、川の水を汚濁させたりしないよう心がけなければなりません。資金に余裕のある企業は、文化事業のスポンサーになったり、留学生に奨学金*を出したりして、もうけた一部のお金を社会的に役立てます。企業がこうした努力をすることをCSR(Corporate Social Responsibility)=企業の社会的責任といいます。
4 利益(もうけ)の一部を配分して信用を手に入れ、起業家として成功!
長期ビジョンと理念、将来どのように経営していきたいのか。そしてそのイメージと理念は結びついていますか?ここがあいまいだと、決して成功しません。会社の存在意義(何のためにこの会社をつくるのか)、そして、その手段(そのために何を売る)ということをきちんと考えてきましょう。
辞書で意味を調べてみよう
経営*=
理念=
あなたの経営理念は?…ここがいちばん大事!
プレゼンテーションをしよう。
▼すばらしい事業計画書に一票!
@ 君が雇われたいと思う会社はどこ?
さんの提案した 会社
その理由は?
A 君が消費者として「この会社のモノやサービスを買ってもいい」のはどこ?
会社の を買ってみたい。
その理由は?
B 票をいちばん多く獲得した人は
会社をつくった さんでした。
おめでとう!あなたは起業家として大成功するかもしれません。
*奨学金
勉学意欲がありながら、経済的な理由のために修学が困難な生徒に対して支給される学費の支援金のことです。
*経営
広辞苑によると「経営」の解釈には3つあります。そのひとつに「あれこれと世話や準備をすること」とあります。「世話をする」は「病人の世話をする」、「お年寄りの世話をする」といったように、「相手に喜んでもらえるような何かをする」こと、「喜んでもらえる商品やサービスを提供する」ことが経営の意味するところのようです。