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  1. けいかも

  2. 子どもと家族で考える。経済ってなんだろう?
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2003・10・11 日本社会科教育学会

ウエッブサイトを利用した経済学習の試み

          −「e-教室」一年の実験から−

4 一年の学習活動の実際

 一年間にどのようなテーマを議論したかは以下の表コピーにあるとおりである。

表での問題の順序性がばらばらになっているが,

@「カリキュラムを考えます」では,教室開始の前に,モデレーターなどの大人の参加者が何を学びたいと考えているかをアンケートした。

A「なぜ経済なの」では,同じく経済に関する疑問などをひろく取り上げてもらった。

B「空席をなくすには」では,丁度ワールドカップの会場に空席が目立った問題から,なぜ空席がでたのか,それをなくす経済的な方法を考えてもらった。ここでの学習概念は,経済的資源,希少性,価格メカニズムである。

C「値段があるものないもの」では,世の中に値段があるもの,ないものを探すという問題を提起した。どうして値段がないのか,値段の役割は何かもあわせて考えてもらえるようにした。学習概念は,希少性,価格メカニズムである。

D「ただほど高いものはない」では,Cを受けてなぜタダなのか,タダは本当にやすいのかを考えさせる問いかけをした。学習概念は,機会費用である。

E「脱ダム宣言のキカイヒヨウは?」では,長野県の田中知事の発した「脱ダム宣言」を手がかりに機会費用に関して考えてもらおうとした。学習概念は,機会費用である。

F「お小遣いアンケート」では,生徒のお小遣いの額を聞きながら,消費や所得,貯蓄などについての問いかけをしていった。また,小遣いと景気の関係にも触れていった。学習概念は,消費,所得,貯蓄,景気変動などのマクロ概念である。

G「どうすれば生き延びられる?」では,無人島に流れ着いたイヌ先生とネコ先生が,協力しながら生き延びるにはどう労働を分け合えばいいかという問いかけを考えさせながら,分業や協業,比較優位などを紹介していった。また,貿易がなぜ行われるかをここから考察させる問いかけをしていった。学習概念は,分業,協業,比較優位,交易である。

H「どんなお店を開店するか?」では,『レモンをお金に代える方法』にならって,あなただったらどのようなお店を開店するか,その資金や販売方法の努力はどんなものかを問いかけていった。学習概念は,企業,株式会社,サービス,情報である。

I「ケーキの分け方は?」では,一つのケーキを前ににらみ合うイヌ先生とネコ先生が満足するような解決策はあるかと問いかけながら,資源の分配問題を考えさせるようにしむけていった。学習概念は,資源,分配,効率,公平である。

J「あなたが考える豊かさってなに?」では,日本は豊かな国かと問いかけながら,本当の豊かさとは何かを考えさせていった。学習概念は,国民所得,物価である。

K「お金に関する大疑問」では,なんでお金があるのか,どうして紙っぺらでモノが買えるのか,ニセがねってありうるのか,国が借金をしつづけたらどうなるかなどを問いかけながら,貨幣,金融,財政について学んでいった。学習概念は,貨幣,利子,金融,財政,為替である。

L「為替市場の風雲児登場?」では,一ヵ月後の対ドル為替相場を予想させるアンケートをだし,それをもとに為替,為替レート,為替レートの変動要因などを学んでいった。学習概念は,為替,為替レートである。

M「経済が発展する条件ってなんだろう?」では,日本やアメリカのような経済が発展している国と,なかなか経済発展が出来ない国の差を考えさせながら,南北問題に関心をもたせる展開をこころがけた。学習概念は,経済発展,南北問題,情報である。

N「この格差をどう埋めるか?」では,Mで学んだ南北格差の原因を明らかにしながら,格差をいかに埋めるのかを各自が提案してもらった。学習概念は,経済発展,政府開発援助,貿易である。

O上記のリンクにはないが最後に「経済を学ぶと幸せになれるか?」の問いかけをした。


この他に,「経済あれこれ」というページでカリキュラム外の経済に関する疑問や,時事問題など自由に語りあうことを並行して行った。そのページで取り上げた内容の一覧は以下のようである。

ここでは「配っているティッシュをもらうか」からはじまり,クイズや,アンケートなど硬軟取り混ぜたあらゆる疑問がだされている。このような自由なコーナーとカリキュラムをもった「今月の問題」を並行させることによりこの教室での学習は大きな広がりを持つことができたといえよう。

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ウエッブサイトを利用した経済学習の試み

  1. 1 はじめに
  2. 2 「e-教室」と「経済と私」
  3. 3 「経済と私」のカリキュラムと学習活動
  4. 4 一年の学習活動の実際
  5. 5 ケーススタディ「脱ダム宣言のキカイヒヨウ」
  6. 6 社会科教育とウエッブサイトでの学習
  7. 7 まとめと今後の課題
2007 © Akira Arai